勝ち負けにこだわることがない幸福感の確立【とらわれない生き方】
2023/05/10
人生は何でも勝ち負けで判断されます。そして勝者になることが目標で、敗者になることを極度に恐れます。しかし、ブッダは勝ち負けにこだわる限り、その人に幸福は訪れないと説いています。
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勝ち負けにこだわる限り勝者も敗者も不幸である
仏教では何かに執着する心、とらわれる心が幸せになれない根本的原因であると教えています。その中でも勝ち負けにこだわる心は誰にでも備わっており、この執着から離れることが最も重要です。
今の現代社会は、生れて物心がついてから死を迎えるまで、ずっと激しい競争社会にさらされて生きることになります。その中で勝者になることが唯一の成功であると洗脳され、敗者は人生の落伍者の烙印を押されかねません。しかし、勝者も敗者も関係ありません。勝ち負けにこだわる限り、いづれも不幸から逃れることは出来ないのです。
勝者も敗者もどちらも不幸である理由
勝ち負けにこだわることが不幸の原因です。そのことが次の「法句経」という経典に明確に書かれています。
「 負けるものは夜も眠れず 」
「 勝つと負けるを離るるものは 」
「 寝ても覚めても安らかなり 」
-- 法句経より --
人生の勝者であり成功者と一般的に思われている人は、必ずしも幸せとは限りません。なぜなら成功者は常に妬みや嫉妬を受けて、他人から足を引っ張られることも多く、常に警戒しています。また、お金や財産をもてば、それを失う恐怖にさいなまれ、それを守ることに必死になり、心休まることがありません。
つまり物質的な成功と幸福は必ずしも比例しないということです。それでは逆に敗者となった場合はどうでしょう。敗者の定義は難しいところですが、ここでは社会的競争に負けて弱者の立場になっている人とします。敗者は勝者への妬み、自分への強い劣等感でずっと苦しむことになります。このように勝ち負けにこだわる限り、苦しみから永遠に逃れることはできないのです。
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勝ち負けにこだわらない生き方が幸福を生む!
ちょうど今、日本はリオオリンピックで大騒ぎです。マスコミはメダルの数を国別に比較して、今日も金メダルが何個とれた。取れなかったとニュースを独占しています。期待の選手は金メダルをとることが至上命令のように、物凄いプレッシャーの中で戦います。
そして金メダルをとれなかったら、この世の終わりのような表情で肩を落とします。マスコミも金メダル受賞者を英雄のように扱い、メダルを取れなかったら何もありません。これはオリンピックという異常なもり上がりの中ではある程度やむを得ないとは思います。
しかし、スポーツという純粋な世界で、異常なまでに勝ち負けに執着するのは、少し違和感を覚えます。メダルをとれなくても、人生の敗者になったわけではありません。勝ち負けに執着しすぎると、勝敗の結果でその人の全てを評価しかねません。どうも、勝負に執着しすぎる所には、心の平安はないように思います。
ここで注意したいのは競い合うことが悪いことではないということです。人は競い合うことで共に成長できます。その努力の過程は素晴らしい成長の体験です。しかし、どんなに努力しても金メダルが取れる保証はありません。称賛すべきところは、昨日の自分を超えるために厳しい努力を継続するそのハートです。
スポーツ以外の全ての事にも言えることです。努力することを継続する心を称賛すべきであり、結果のみに焦点をあてるのは、とらわれや執着にすぎません。心の平安はつねに執着から離れたところにあるのです。
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