負の感情に支配されない生き方とは?古代哲学者エピクテトスに学ぶ人生哲学
今、古代ローマ時代を代表する哲学者エピクテトスが注目されています。 エピクテトスは哲学史上では珍しい奴隷出身の哲学者で、 彼は「ストイック(禁欲的)な生き方」を打ち出した源泉ともいえます。
過去から現在まで多くの偉人たちにも影響を与えた哲学者です。 今回は、 エピクテトスの哲学から「人生の生きづらさを解消する思考法」 について学んでいこうと思います。
目次
「死」を眼前に置いて生きる
エピクテトスの言葉
エピクテトスの言葉に、次のような死を意識した言葉があります。
エピクテトスは、人生を不幸にしている卑しい考え方や過度な欲望は、 「死を眼前に置いて生きる」ことで、撃退できると教えています。
終末期医療の病院で最期を迎える患者さんが、医師に向かって言う最後の言葉で最も多いのが「人生への後悔」の言葉だそうです。
新潮社の書籍「死ぬ瞬間の5つの後悔」(著者:ブロニー・ウェア 翻訳:二木めぐみ)死ぬ瞬間の後悔として、 次の5つが紹介されています。
● 自分に正直な人生を生きればよかった
● 働きすぎなければよかった
● 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
● 友人と連絡を取り続ければよかった
● 幸せをあきらめなければよかった
多くの人は、「 死がいずれ訪れる」ということを避けて生きています。 そして貴重で愛しい人生の時間をネガティブな感情に支配されて、無駄に消費してしまいます。
しかし、人生の最後になって死が目の前に訪れると、そこでやっと人生という時間がいかに大切で尊い時間だったか、そして、その貴重な時間を無駄にしてしまった自分への切実な後悔が訪れるのです。
エピクテトスが言うように、「 生きている今、その死を意識する」ことができれば、後悔のない人生を送ることができるでしょう。
ローマの文人たちは書斎にドクロを置く
古代ローマの文化人たちは、 現代人には考えられないような習慣があったようです。 その習慣とは、自分の書斎の上にドクロを飾ることでした。そのことを示すような西洋絵画は少なくありません。
ドクロを書斎の上に置く目的は、「 常に死を意識して生きる」という習慣を身につけるためのものです。人間は誰しも死は避けられません。 いくら健康に注意しても癌になることもありますし、突然の事故で死ぬかもしれません。
死は人間にとって避けられない事態であり、かつコントロールできない絶対的恐怖の対象なのです。
死はいつか必ず訪れ、自分はこの世から消え去るのだと自覚すれば、いたずらに欲に振り回されたり、無為な時間を過ごすことがいかに無駄なことか気づくはずです。 死の前には地位や名誉財産などを求めることがいかに馬鹿らしいことかと。
人生の「生きづらさ」を解消する思考とは?
エピクテトスの名言から、人生の生きづらさを解消する思考法を考えてみましょう。
自分の意思でどうにもならないことは悩まない!
------ エピクテトス
人生には様々な問題が自分に降りかかってきますが、その問題の内容は大きく次の2つに分けられます。
1.自分の意思や努力で乗り越えられる課題
2.自分の意思や努力では到底乗り越えられない課題
1の課題は、自分の能力とそれ相応の努力によって乗り越えられる課題のことで、解決可能な問題を指します。 2の課題」は、自分の能力や努力の限界を超えている課題であり、どうにもならない解決不可能な問題です。
この2つの課題のうち、取り組むべき唯一の課題は、1の「自分の意思や努力で乗り越えられる課題 」のみです。それだけに集中すべきです。
2の「自分の意思や努力では到底乗り越えられない課題」 は、やるだけ無駄であり、分かりやすく言えばスルーすべき問題です。しかし多くの人 は、この解決できない不毛な問題に取り組み悩みを増大させているのが現状なのです。
それは自分にできることか、できないことか ? その問題は自分の影響の範囲にある問題か?それとも自分の影響は及ばない問題なのか?
対象となる問題を客観的に評価して、自分の努力でできることと、自分が影響を及ぼすことができる課題のみに集中することが重要です。そして、その他の事を諦めるか、スルーすることができるかが鍵になります。
人生は短い!「死」を眼前に置いて、可能なことに集中しして、不可能なことに執着しない生き方をしよう!
今回の記事では、エピクテトスの哲学や名言から、 「死を意識することで後悔のない人生を目指す」ということと、 生きづらさを解消するために「どうにもならないことには悩まない」で、 自分ができることに集中するということについて学びました。
昔に比べれば長寿社会になったとはいえ、やはり人生はあっという間です。 限られた人生という時間を、後悔しないように生きるために今回の記事が役立てば幸いです。最後にもう1度、どうにもならないことに悩むのは、 今日からやめましょう!
スポンサーリンク